大きなカブを育てたい

アウトプットや記録の場として読んだ本や投資の事、食べ物の事など書いていきます。

【読書】有名すぎる文学作品をだいたい10ページの漫画で読む。

有名すぎる文学作品をだいたい10ページの漫画で読む。
ドリヤス工房
有名すぎる文学作品をだいたい10ページの漫画で読む。 (torch comics)

amazon

(楽天で見る)

漫画なのに読み終わるまでに1週間もかかってしまった。

 

どんな本?

名前だけ聞いたことがあるような文学作品が各10ページ程度の漫画に纏められている。水木しげる風の作風で描かれているが無関係。

収録作品:「人間失格」「檸檬」「羅生門」「阿Q正伝」「たけくらべ」「舞姫」「山月記」「布団」「浮雲」「風立ちぬ」など全25作

この本を読んだきっかけ

もともと文学には疎く、有名な作品と言えども自主的に読む機会が無かった。教科書で読んだ作品しか知らなかったし、それすらも記憶が朧げになっていた。知識や教養として頭に入れておきたい気持ちもあったが、文体が読みづらい作品も多く、なかなかに腰が重かった。

以前からこの本の存在だけは知っており、本屋で見かける度にいつか読みたいとは思っていたが、たまたまamazonプライムリーディングのラインナップを見たら入っていたので飛びついてダウンロードした。

 amazonプライム会員の方はこちら↓から無料で読めます(2020年5月現在)

総評

f:id:bignakabu:20200518172647p:plain

 たしかに10ページに簡潔にストーリーが纏められているが、端折られているシーンも多いため、何が起こっているのか分からなかったり、登場人物がその行動に至った背景などが分かりにくい部分もある。例えば学生がこの漫画だけ読んで読書感想文を書こう、なんてことは到底無理なので大人しく原作を読むべきである。

印象的な表現やセリフなどは漏らさず取り入れられているため、「あ、これこの作品のセリフだったのか」という気づきはある。

が、やはりオチが分からない作品や、あの場面のアレどういう事…?となる作品も多く、結局自分であらすじや解説を探して読みながら本書を読み進めていたため、読了までにやたらと時間がかかってしまった。今の時代、ネット上であらすじが詳細に解説されているどころか読書感想文やら作者の伝えたいことやら、検索すればなんでも出てきてしまう。自分が学生だった時にあれば助かったな…と思う反面、せっかく文学に親しむ機会を失うことになりかねない(全く親しんでいない人間が言う事でもないが)できる限り原書を読んで、分からない事はグーグルや知恵袋に聞くのではなく学生時代の特権である「教師に質問」をして欲しいと思う。(こういう学生時代の勉強だけに集中できる期間や、いつでも質問して教えてくれる教師の有難みって大人になってからじゃないとその貴重さが分からないんだよなあ…)

話が逸れたが、この漫画を読むだけではうっすらあらすじが分かっただけで、その作品を読んだ気にまではなれないが、原作を読んでみたいと思わせるような作品はあった。何か本を読みたいが、何を読もうか迷っている人が作品選びの参考にするには良いかもしれない。また、掲載されている作品は著作権が切れているので、調べたわけではないので全作品ではないかもしれないが、原作は青空文庫に掲載されているので無料で読める

www.aozora.gr.jp

気になった作品

語れる程各作品について詳しくなれたわけではないが、特に気になった作品を挙げておく。

本書の中で私が気になっていつか原作を読んでみようと思ったのは山月記」「檸檬」「五重塔」「阿Q正伝」「野菊の墓」「恩讐の彼方に」「風立ちぬだ。

山月記は以下の記事でも触れたが、今の自分の悩み、今後の人生について刺さるところがあった。確か作中の漢詩の部分を高校時代に漢文の授業で習った気がするが全く覚えていないので改めて原作で読みたいと思った。同じく人生については風立ちぬもいつか自分にも来る別離について考えさせられた。 

bignakabu.hateblo.jp

檸檬は最初に読んだ時に全く意味が分からなかった。表現方法が当時鮮烈であったようだが、おそらく文章で読まないと何も分からないと思う。同じく文章表現としては夏目漱石が「何百篇読んでもよろしい」と絶賛していたという野菊の墓も、青春時代の繊細な心の機微を原文から感じたいと思った。

五重塔」「恩讐の彼方にプロジェクトX的面白さを感じた。登場人物それぞれの信念が胸を打つ。源太と十兵衛、市九郎と実之助。誰の、どの視点に立って読んでも楽しめて、考えさせられる。

阿Q正伝は当時の中国を風刺した作品だが、今の日本にも通じる物があると思った。これはじっくり読みたい。

 

と、こんなにも気になる作品を見つけられた。イマイチな点数を付けたが、本書は文学に触れるきっかけとなる役割は十分果たしていると思う。

その他の書評

 

bignakabu.hateblo.jp

bignakabu.hateblo.jp