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【ネタバレ】るろうに剣心 北海道編 あらすじ①ファンの重い思いを添えて

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るろうに剣心北海道編。ジャンプSQで連載中だが、途中色々あったり、月間連載の為、単行本の刊行ペースが遅い。そのため、新刊が出ても前の巻の内容を全く覚えていないので読み返さなくてはいけなくなる。毎度1巻から読み返すのも面白くて良いのだが時間がかかるのであらすじをまとめておきたいと思う。以下ネタバレ満載である。

 

北海道編とは

ここからは読んでいる方がるろうに剣心を知っている前提で記事を書き進めていく。

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北海道編とは、連載終了後に発売された剣心華伝に掲載されている作者のロングインタビューで構想が明かされた幻の章で、生き残った十本刀のその後が描かれる予定であった。(安慈が北海道に収監されたり、不二が屯田兵となっていたり、宗次郎が北へ向かっていたりと、伏線だけは張ってあった。)結局作者が剣心の物語は書ききったとして幻に終わった章であったが、ファンとしてはぜひとも読みたい章だった。

特にその後に連載された作品が短期で打ち切られてしまったため、それなら北海道編をやっていれば…と悔やんだものである。2012年に実写映画のプロモーションの一環として連載された特筆版の単行本上巻のフリートークでも、改めて「テーマが完結している」ことを理由として北海道編を描く事が否定された。

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 もうここまで作者が完遂しているならば読むことは出来ないのだろう、と改めて諦めていたのだが、突如北海道編の連載がニュースになった。

natalie.mu

今改めてインタビュー記事を読み返してみると「剣心の人生の終わらせ方」「これ以上描いたら結末が少年漫画じゃなくなっちゃう」「男が憧れる人生の完結としてはひとつのハッピーエンドではあったんですけど、読者が読んだときにハッピーエンドかと言われるとそうではなかった」「どうすれば剣心の人生を少年マンガとして終えることができるか」などなど、北海道編の作中で引っかかっている事の核心に迫るような事が書かれていた。(それからついでに星霜編のトラウマが蘇った。私の星霜編に対するスタンスとしてはあの作品自体がどうこうというよりあのストーリーはるろ剣でやるべきだったのかと問いたい。15年程前に1度見たきりなのでかすかな記憶しか残っていないが、後味は火垂るの墓に近いと思う。)

というわけで、1度少年漫画として描けるところまでは描き切ったと作者も完遂していた剣心の物語を、少年漫画としての人生の終わらせ方を見出す事ができたので満を持しての北海道編連載開始と相成った。たしかに作中でフラグが立ちまくっているが、本当に剣心は死んでしまうのか…?

そこは和月先生の「エンターテイメントの基本は笑顔とハッピーエンド」を信じたい。(私は決してハッピーエンド至上主義者ではなく、胸糞エンドも好きだが楽しい作品は楽しく終わって欲しい)

あまりに思い入れが強すぎて前置きが長くなってしまった。連載当時るろ剣のファンだった人、そして北海道編の構想を知っていた人にとっては何度も夢見ては諦めた幻が実現したのである。それはもう長文を書かずにはいられない。

 

1巻あらすじ

やっと本題のあらすじに入る。以下ネタバレである。

序幕

物語は長谷川悪太郎(あしたろう)と文明開化の申し子・井上阿爛(あらん)が集治監から釈放されるところから始まる。悪太郎は食い逃げにより5年間、阿爛はアメリカに渡ろうとした密航未遂により3か月間服役していた。

成り行きで連れ立った2人だが、ひとまず落人群に落ち着こうとしたところ集治監の前でも遭遇したが現れ、旭と悪太郎は志々雄一派の残党であることが語られる。5年も服役していたのは食い逃げの罪ではなく、賊であったことによるものだった。明治政府

を転覆させようとした大逆賊として、首魁・志々雄真実の名は決して口にしてはいけないタブーとなっていた。そして彼女の要求は悪太郎が5年前に手に入れた御宝を渡す事であった。なんとか逃げた2人は御宝の隠し場所へ向かう。かつて剣心と鵜堂刃衛が戦った神社だった。「うふふと笑う幽霊が出るので人が寄り付かない」と言われ、背景には鵜堂の影が浮かび上がっているが果たして…?

そして旭が要求している御宝とは、他でもない志々雄の愛刀・無限刃。5年前の闘いでアジトが崩壊した時に悪太郎が偶然手にした物だった。表面は焼け、鍔は取れ、歪んでいるのか鞘から抜くこともできない。刀を元手に新しい時代で真っ当に生きようと提案した阿爛には刀を高く売るアテがあるという。

 

過去との交錯

阿爛の言うアテとは、塚山由太郎の事であった。由太郎は輸出入を行う商社・塚山商会の若旦那として立派に成長していた。由太郎は刀の買い取りを断るが、そこに志々雄一派の残党が乱入し、悪太郎と阿爛は街から離れた廃道場まで逃げた。この廃道場、なんだか見覚えがあると思ったら前川道場である。道場の看板は折って捨てられ、屋根には大穴が空いたまま。完全に廃墟である。あまりにも悲しい…。

残党の賊長との戦いで悪太郎が無限刃を抜いた瞬間!その手を止めたのは剣心であった。連載終了から16年経ち、作画もデジタル化されているがそこまで違和感は感じない。弥彦から逆刃刀を借り、龍翔閃で一撃!

そして2人は神谷道場預かりとなり、神谷活心流門下生となり、悪太郎は明日郎となった。

 

壱の秘剣・焔霊

空腹と文無しのため、赤べこで働き始めた悪太郎のもとに、旭と旭の郷の人間2名(佐古・老婆)が来店する。旭は志々雄一派に派兵されていただけで所属はこのである。旭は自分で自分を身請けし、自由の身になろうとしたがお金が足りなかった。

佐古に殴り掛かった悪太郎は暴走し、郷の人間が逃げた後も分別つかず警官隊相手に暴れていた。それを止めに入った剣心の前で無限刃を抜き、そしてその刃は燃え上がっていた。志々雄真実の技、壱の秘剣・焔霊である。双龍閃の一撃でその場を収めたが、明日郎の今後を危惧した剣心は無限刃を封印し、刀を抜く事を禁じた。この、「明日郎の欠けた処に良くない性が嵌ってしまえば志々雄真実の遺したこの兇刀の眷属になる」というのは今後の伏線にも思える。明日郎は善人とは言えないし、食べるためなら何でもする。いつか我を見失ったり、道を踏み外し欠けたりする展開があるのではないだろうか。

 

そして北海道へ

旭も神谷道場預かりとなった。旭の郷の者が落とした包みを開いてみたところ、中から出てきたのは薫の父・神谷越路郎の写真であった。写真の裏には北海道函館と書かれている。剣心と剣路を父に遭わせるべく、薫は北海道に父親捜しに行く事にした。

 

絶望と希望の大地北海道へようこそ

一方の北海道では函館山が戦場と化していた。山を占領する賊を退けようと陸軍が進軍するが犠牲者が増える一方であった。賊の名は劍客兵器。弾丸を素手でキャッチしたり土の中から出てきたり(これは以前も居たが)殺人奇剣を振り回していたりと、相変わらず敵のバラエティが豊富だ。絶望する陸軍の面々。そこに現れたのは斎藤一であった。

 

弥彦の逆刃刀

剣心は縁との闘いを終えた時点で既にかなり身体が衰えている状態である。飛天御剣流は4、5年以内に撃てなくなると言われてからその5年が経っている今、いつ撃てなくなってもおかしくないだろう。北海道には戦いに行くわけではないが、もし北海道で困窮している人を虐げる人たちがいたら剣心が必ず戦うことを分かっている薫は、弥彦にも北海道への同行を求めたが、弥彦は神谷道場の師範代として道場を守るために断る。

薫を納得させるため、弥彦と剣心は一戦交えた。九頭龍閃vs刃止め!

結果、弥彦いわく体力は落ちているが強さの天井は落ちていない。そして弥彦は、一度は譲り受けた逆刃刀を剣心に返した。逆刃刀を真に使いこなすためには絶対に殺さないように加減する事が必要であるが、それを極めるためには実際に人を斬り殺す経験の積み重ねが必要であり、不殺の逆刃刀は殺人剣の向こう側にある。弥彦は逆刃刀を使いこなすのではなく、別の道を見出した。

そんな弥彦は剣心一家と弥彦の代わりの明日郎・阿爛・旭を送り出しーー燕に一緒に暮らそうか、と告げる。感無量。今後も出番はあるし見せ場もきっとあるだろうが弥彦の物語はここで一区切りだろう。初期の頃と比べたら本当に成長したなあ…果たして明日郎たちもこうやって大人になっていくのか、はたまた闇落ちしたりするのか、まだまだ分からない。

 

そして最後のページでは後ろ姿だけであるが待望の相楽左之助の登場である。まさかここから半年待たされるとは…。様々な意見があるが、やった事の是非は置いておいて(否しかないが)その後の展開も面白いので連載再開する事ができて良かったとは思う…。

今後気になるポイント

・明日郎が激情に身を委ね無限刃を抜く時が来るのでは?

・薫の父は何故神谷道場に帰ってこないのか

・「剣と心を賭してこの闘いの人生を完遂する」の真意

・薫は何故剣心の体力が落ちた事が分かったのか

感想

やっぱりるろ剣は面白い。これに尽きる。様々な連載を経て絵が凄く変わってたら嫌だなあと思っていたがあまり違和感もなく、新キャラがいつつも空気感やノリも当時に近いと思う。(若干シリアス要素が見え隠れする事もあるが…)

過去のストーリーの積み重ね(=キャラクターの歴史)が上手く活用されており、カタルシスを感じる。今後とんでもなく広げられていく風呂敷がきちんと畳まるのか、そして剣心がどんな最後を迎えるのか、怖くもあり、楽しみでもある。

 

他の巻のあらすじはこちら

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